2018年3月  2.国連人権理事会でのアピール
 この11日で東日本大震災から7年が経過します。地震による建物の倒壊に加えて、津波そして原子力発電所の事故と、この災害は未曾有の犠牲を伴うものとなりました。日本の教会は、「原発事故の記憶を保つ」ことを今月の意向に取り上げています。そして、「すべての人間の幸福と尊厳を守る社会を実現していくこと」を祈り願うようにと奨めています。
 自然界には放射線が存在しています。人類は、その環境の中で生命の連鎖を重ねてきました。しかし、人為的に核分裂を生起させることによって高いエネルギーが放出される反面、自然界に存在しない物質までも生産されて、そこから人体に影響を与えるほどの強い放射線を放出してしまいます。福島の原発事故で避難を余儀なくされた人たちは「『放射線被ばくから免れ健康を享受する権利』は、人の生命・健康に直接関わる最も重要な基本的人権である」と訴え続けてきました。そしてその人権侵害が常態化していているなかで保護・救済を切望しても全く当事者の意見は反映されず、改善されていないことを世界に訴えたいと願っていました。
 このこのたび、福島の原発事故被害者が、スイス・ジュネーブの国連人権理事会本会合に出席し、避難者の置かれている現状について発言する機会を与えられました。3月16日、その日はちょうど、福島原発東京訴訟の判決日にあたりますが、大阪に避難中の森松明希子さんが、2分間のスピーチをすることになりました。この機会に、全国の避難家族の母子8名も同行して、本会合の後にフランスに渡り、約半月間にわたって講演活動や交流会を行い、福島の原発事故被害、政府や東京電力の対応と避難者の現状を訴えることになっています。
 記憶は年を追うごとに風化しがちですが、日本の教会は事故の記憶を保ちながら、原発の即時停止を訴え続けています。私たち一人ひとりも、安全神話が崩壊した今日、兵器はもちろんのこと、船舶や発電など原子力によるエネルギーに依存する生活から、地球にやさしい生活へと転換できるように、祈りによって生活を整えながら過ごしてまいりましょう。