2018年6月  1.ソーシャルネットワークとは
 「違いを認めて互いに尊敬し合うことを大切にするインクルーシブ(包含性)に向けて」という文言ではじまる教皇の今月の世界共通の意向は、すべての人の基本的人権を認める今日の世界にあって、最も大切にされなければならない心の姿勢を示しています。
 「きょうをささげる」では、バチカンから送られてくる教皇の毎月の意向を日本語に翻訳していますが、「インクルーシブ」という語は日本語にすることがとても難しい単語の一つです。今年1月の意向を解説したこのコーナーでも、「インクルーシブ」について触れましたし、4月の一週目の解説でもその対極にある「排他主義」について論じました。ぜひ、この言葉の意味を理解するように努めてください。
 さて、教皇は、誰一人として排除されない(インクルーシブな)社会の実現に向けてソーシャルネットワークがきっと役に立つだろうと考え、インターネット社会にあってこれが有効に機能するようにと祈ることを奨めています。そもそもソーシャルネットワークとは、社会学や人類学、経済学などで用いられてきた学術用語で、個人と個人、個人と組織、組織と組織との関係を示す概念で、ネットワークとはすべての構成員が相互に情報を交換できる状態を指していました。たとえば、5人が一緒に働いている職場で、1人の班長が4人の部下に指示命令を下す関係では、それはネットワークとは言えません。回路(チャンネル)の数は4本です。交換できる回路がすべて備わっている状態をネットワークと言い、5人の場合では、10本の回路(チャンネル)が張られていることになります。
 今日のようにIT技術が発達し、一人ひとりがスマートホンなどでインターネットに接続して情報交換ができる時代には、ネットワークを構築することが究めて容易になりました。さらに、フェイスブックなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と呼ばれている登録した会員間の情報交換を支援する仕組みが次々と提供され、若者たちを中心に多くの人が恩恵にあずかっています。
 目的は、一人も排除されることのない社会の構築です。この目的のために、SNSが役立つものとなりますように、心を合わせて祈ってまいりましょう。