2018年6月  3.ネットで炎上
 今日の技術革新によって、インターネットでは情報が一瞬のうちに世界中に伝達され、また自由に独自のネットワークを構築できるようになりました。今月の教皇の意向に掲げられているソーシャルネットワークとは、まさに情報技術の最先端を使ってのシステムです。
 この中にあって、懸念される大きなことは、情報の正確さ、つまり真実性です。流言蜚語といわれる、確証のないうわさ話や根拠のない煽動的な宣伝は、古(いにしえ)より人心を惑わす困った現象でした。これが、瞬く間に世界中に広がってしまう今日では、困ったというレベルでは済まされず、場合によっては人類全体に危険がおよぶ事態にもなりかねないのです。もし「〇×国から核ミサイルが発射されました」などと誰かが書き込んだとしたらどうなるでしょう。サラエボ事件という偶発的な出来事から重なる判断ミスで第一次世界大戦までに発展してしまった悲劇を経験しているので、情報の真偽性についての判断は、厳格になされる体制が必要となります。
 ネットで炎上とは、一つの情報をめぐって、インターネット上に非難や批判が噴出する現象です。バッシング(個人・団体の行為に対する過剰または根拠のない非難)やヘイトスピーチ(憎悪をむき出しにした発言)がネットで炎上することは問題視しなければなりませんが、犯罪やハラスメント(いやがらせ)が表面化するきっかけにもなります。悪質な行為の映像が瞬く間にインターネット上に拡散して、問題が発覚するといった事態になることもあります。
 私たちは、このような大きな力を持つソーシャルネットワークを、誰も排除されないインクルーシブな世界の創造のために役立てていくことができるようにと、教皇の意向に合わせて祈ってまいりましょう。