2018年9月  1.最貧国が多くを占めるアフリカ
 教皇は今月の意向でアフリカの若者のために祈ることを奨めています。そして、到達点に「自国で教育を受け、自国で働く機会を得ること」を掲げています。
 アフリカの経済を概観すると、ここ数年落ち込んでいたGNP(国民総生産)の伸び率が少し復調してきていますが、最貧国のランキング10番目までは、すべてアフリカの国々であることから、経済の水準もいまだに低いことが理解されます。
 最新のデータによれば、最も貧しい国はアフリカ中央部に位置する中央アフリカ共和国で、頻発するクーデターのために経済が疲弊してしまいました。そして1人当たりのGDP(国内総生産)が656ドルで、1ドル110円として換算すると72,160円になります。ということは国民の平均で1日当たり1人200円程度の価値しか生産していないことになります。日本の1人当たりの実質GDPは38,439ドルですから、貧しさの程度は比べものにならないほどです。
 第2位はコンゴ民主共和国で、1人当たりのGDPが784ドルです。この国も内戦によってインフラが破壊されて、最貧国となっています。第3位はブルンジ共和国で818ドルです。国土の面積が狭いのが特徴で、内戦に加えて経済制裁も大きく影響しています。第4位はリベリア共和国で、882ドルです。西アフリカの大西洋に面する国ですが、2003年まで内戦が続いていたために経済復興が立ち遅れています。第5位はニジェール共和国で1,113ドルです。国土の3分の2が砂漠で、農業などの第一次産業が弱く、最貧国となっています。第6位、マラウィ共和国で1,139ドル。第7位、モザンビーク共和国で1,228ドル。第8位、フランスの植民地の中で最初に独立したギニア共和国で1,271ドル。第9位、北アフリカのエリトリアで1,321ドル。そして第10位は、アフリカ大陸の東400kmに浮かぶ島国マダガスカル共和国で1,504ドルとなっています。第1位と第10位を比べてみるとその数値は2倍にもなっていて、アフリカ諸国の中でも貧困の程度に大きな差があることが分かります。
 自国で教育を受け、自国で働く機会を得るという高い目標は、一度に到達できるものではありません。まず経済の立て直しが必要となります。いちばん危惧されることは、クーデターや内戦が再び起きてしまうことです。戦争による破壊は実に空しいことを一人ひとりが深く認識することが肝要なのです。
 アフリカの経済が立ち直りますように、そして再び戦火によって大きな打撃を受けることがないようにと、遠く離れたアフリカの人々のために祈りをささげましょう。