2018年9月  2.自然の猛威を目の当たりにして
 教皇フランシスコは2015年に回勅『ラウダート・シ――ともに暮らす家を大切に』で、全世界の人に向けて、エコロジー(自然保護)に取り組むよう訴えました。そして、東方正教会にならって、環境保護のための助けを願う日をカトリック教会の暦に加えました。9月の第1日曜日の「被造物を大切にする世界祈願日」がそれにあたります。日本の司教団は、「きょうをささげる」の9月の意向に、この教皇の回勅に込められた思いを取り上げて、「すべての被造物の尊重」のために祈るように勧めています。
 日本では毎年9月1日を「防災の日」と定め、全国各地で様々なかたちでの防災訓練を行いました。しかし、自然の猛威は常に私たちの想定をはるかに超えるかたちで現実の厳しさを突きつけてきます。台風21号による高潮の影響で、関西国際空港が大きなダメージを受けました。そして6日未明には「平成30年北海道胆振東部地震」が発生して、震源の近くでは震度7を記録し、全道がすべて停電するという事態を引き起こし、また土砂崩れによる多数の死者・行方不明者がでました。人間の力を過信せずに、謙虚になって自然と共存していく姿勢に立ち戻ることが肝要だと痛感させられます。
 教皇フランシスコは、地球規模の環境悪化が進む中、自然を破壊することなく、「ともに暮らす家」である地球を大切にし、調和のうちに発展していくことができるよう、いのちの与え主である神に賛美と感謝をささげるとともに、自然を大切にする視点から、ライフスタイルを見直し、考え方を改める機会とするように勧めています。いま、被災されて困難な状況を余儀なくされている多くの人々のために、また自然災害で命を落とした人々のために、心を一つにして祈りをささげてまいりましょう。そして、生活の一コマ一コマを見直して、自然と共存できる生活様式に改めて参りましょう。