2018年9月  4.マイクロプラスチック
 環境の破壊は、私たちの目の見えないところで、一刻一刻地球上の隅々で進行しています。今年、その深刻さが指摘されたものの一つに、マイクロプラスチックがあります。定義では5mm以下のプラスチック片のことを指します。これが海洋を汚染していて、それを体内に取り込んだ魚などに有害物質が蓄積され、もしそれを人間が大量に食べると危険な状況に陥る可能性があるのです。また、食物連鎖の中で有害物資が濃縮されていくことも確認されています。
 そして、このマイクロプラスチックの海洋汚染は、日本近海で他の地域の10倍も進んでいるという調査結果も報告されています。たとえば、東京湾で捕れたイワシの64匹中49匹から平均3個のマイクロプラスチックが見つかりました。これは、大量のゴミが海洋に投棄されている東南アジアから、黒潮に乗って日本近海に廃プラスチックが運ばれてくることが原因だと考えられています。
 有機物のゴミは、地中では土に帰っていきます。ですから、人類の歴史の中で、ゴミを野原や小川に捨てることは、何ら問題とされることではありませんでした。しかし、プラスチックは永久にプラスチックのままです。プラスチックは分解されません。ですから、カンボジアやタイなどの農村の小道を歩いていると、アイスクリームのスプーンやポテトチップの袋などが、土の中に鮮やかな色を発しながら埋まっている光景が、ごく当たり前になってきてしまいました。
 地球を汚染するプラスチックの脅威については、もう50年も前に科学者の間でその可能性が議論されていたのです。しかし今日では、プラスチックを使わない生活は考えられません。この便利なプラスチックと、どのようにつきあえばよいのでしょうか。日本ではプラスチックのリサイクルが盛んに行われるようになりました。家庭でもゴミの分別が徹底されるようにもなりました。しかし、あふれ出るプラスチックを処理する能力をすでに超えていて、また、回収したプラスチックを加工する中国が一時輸入を中止しているなど、リサイクルにも課題があるのです。
 エコロジーの原則に立ち返って、生活を見直してみましょう。まず、リデュース(reduce)です。できるだけプラスチックを消費しないような心がけです。次はリユーズ(re-use)です。一度使ったらすぐに廃棄してしまうのではなく、同じものを何度も使用する努力です。そしてリサイクル(re-cycle)です。「すべての被造物の尊重」という日本の教会の意向に心を重ねながら、プラスチックの消費について心を配り、生活を整えてまいりましょう。