2018年12月  1.キリストのミサ
 教会の典礼暦は待降節に入りました。クリスマスまでのこの期間をアドベント(Advent)と呼び、キリスト教の信仰に生きる一人ひとりが、救い主の誕生を祝うにふさわしい準備をするように勧められています。
 フランス語ではクリスマスをノエル(Noel)と言います。この言葉はラテン語のナタリス(natalis)から派生しました。イタリア語のナターレ(Natale)、スペイン語のナビダードゥ(Navidad)、ポルトガル語のナタル(Natal)もラテン語からの派生です。ドイツ語ではヴァイナハテン(Weihnachten)と言い、ラテン語の nox sanctaの翻訳で聖なる夜を意味しています。日本語の表現では「降誕祭」となります。
 世界中で最も使われているのは、クリスマス(Christmas)という表現でしょう。発音するときにtが省かれますので、耳で聞いた時には気が付かないことが多いのですが、アルファベットの文字を見るとその語源は一目瞭然です。キリストのミサです。
 ミサは、イエス・キリストの最後の晩餐のかたどりとして、二千年を超えてキリスト教の礼拝として続けられてきました。大別すると二つの部分から構成されています。一つはみことばの祭儀で、聖書が朗読され、詩編が唱和され、司式する司祭が、聖書の大切なポイントについて講話する説教を行います。もう一つは感謝の祭儀で、祭壇では最後の晩餐の時にイエスによって制定された儀式が行われます。パンと葡萄酒が奉納され、司祭は、キリストが「これをわたしの記念として行いなさい」と言われたとおりにそれを祝別します。
 ミサのクライマックスは「聖体拝領」と呼ばれている儀式です。司祭の手によって祝福され聖別されたパンと葡萄酒は、信仰を分かち合う信徒にとって、いのちの糧となるものです。ですから、それを「聖体」と呼び、キリストの体として実際に口を通してそれをいただきます。食べることによって、キリストと一体となり神からいただいた使命を生きる力を授かるのです。
 典礼の暦は前日の日没から始まりますので、12月24日の日没からがクリスマスです。カトリック教会では、24日から25日にかけてミサが執り行われ、主の降誕を祝います。巷(ちまた)では、電光をふんだんに使ったイルミネーションや大きなクリスマスツリーが飾られ、クリスマスソングも流れています。この日、教会を一度も訪ねたことのない方々を、ぜひ招いてみてはいかがでしょうか。教会で行われる「キリストのミサ」で、神の現存を感じ取っていただけるのではないでしょうか。日本の教会の今月の意向は、このような願いから掲げられました。アドベントの期間に、だれを招こうかと思いめぐらして過ごすことにいたしましょう。