2019年3月  2.核の脅威
 日本では、3月になると、東日本大震災と津波、そして原発事故について、その記憶を消さないためにさまざまな催しが行われています。その目的の一つには、自然災害に対する備えを怠らないようにすることがありますが、それにもまして大切なことは、原子力、核のエネルギーに依存しない生活に向けて確実に歩み出すことがあります。
 福島第一原子力発電所の廃炉の方針について、つい先日に東京電力の見通しが示されました。通常の廃炉作業は、発電所の施設設備をすべて撤去し、更地にすることで終了することとされてきました。しかし、事故を起こしたその場所を、もとの大地に戻すことなど到底できそうにありません。東京電力も、60年も70年も先のことを明言することを避けています。というのも、放射性物質の放射線を放出しながら崩壊してその影響力が半分となる半減期は、ラドン220では 55.6秒 と短時間なのですが、ヨウ素131で 8日、セシウム134で 2.1年、そしてセシウム137 は30.2年と長期にわたるものもあるからです。ですから放射線が身体に影響を与えないレベルまで下がるには、膨大な年月が必要となるのです。事故が起こらなくても、原子力発電所からは常時、核のゴミが出され、最終的な処分場も決まっていない現実があります。ですから、日本のカトリック教会は、原発即時停止を主張し、キャンペーンを続けているのです。
 世界情勢も経済摩擦が起き始めて緊張感を増しています。その時に話題になるのが核兵器の存在です。米朝の交渉も核の廃棄に論点が絞られてきています。核爆発がひとたび起きると、爆発のエネルギーによる高熱などによって、莫大な数の人命が失われ、大地と空気は放射性物質で汚染され、人は被曝します。
 原子力発電も、核兵器と同じメカニズムでエネルギーを取り出しています。ですから、ひとたび事故が起きれば、核爆弾が投下された状況と同じになりかねないのです。
 「いのちの光3.15フクシマ」イベントも計画されています。15日には南相馬市のカトリック原町教会でミサと講演会が開催され、16日には仙台のカトリック元寺小路教会で講演会が計画されています。
 私たち一人ひとりも、3.11と3.15を心にとめて、祈りのうちに日々を過ごしてまいりましょう。