2019年3月  5.高校生の声が教皇に
 「東京電力福島第1原発事故で東京に自主避難した福島県出身の高校1年、鴨下全生さん(16)が20日、バチカンのサンピエトロ広場でローマ法王フランシスコの一般謁見に参列し『事故後の差別や分断に苦しむ人々のため福島に来て祈ってほしい』と要望した。法王は鴨下さんの手を握り笑顔でうなずいていたという。法王は11月下旬に訪日する意向を示しており、被爆地の広島と長崎への訪問が見込まれているほか、ローマ法王庁が東日本大震災の被災者と法王との交流の機会をつくれないか検討しているとされる。」 これは共同通信がローマから配信した記事で、写真入りのニュースとしてインターネットを通じて広く報道されました。また、たくさんの新聞やメディアがこのニュースを取り上げて報道しています。
 日本の教会は、今月の意向として、「原発事故の記憶を保つ」のテーマのもとで「原発事故によって、今もなお、多くの人々が苦しみの中に置かれていることを忘れること」がないようにと祈ることを勧めています。この意向に心を合わせるように、鴨下さんと教皇フランシスコとの出会いが実現しました。鴨下さんは、福島からの避難家族を支援しているボランティア団体「きらきら星ネット」を通じて、教皇フランシスコを訪問する機会を得ました。
 報道記事にあるように、教皇は被爆地である広島と長崎を訪問することを希望されています。もしその機会に、福島への訪問が実現されれば、すべての人が核エネルギーの使用について深く思慮する大きなきっかけとなるでしょう。勇気を持って自分の経験を語ってくれた鴨下さん、そして、日本の教会の意向に心を重ねてくださった教皇に感謝して、福島の事故を風化させない強い気持ちをもちながら、この一週間を過ごしてまいりましょう。