2019年5月  3.対話と和解のために働く宣教者
 教皇フランシスコが意向を自分の言葉で世界中に届けようと始まったビデオ・メッセージを、このサイトでも見ることができることは、ご存じでしょうか。1分ほどの短い動画ですので、是非ご覧になってください。残念ながら、教皇の言葉は母国語であるスペイン語ですが、日本語訳を動画のすぐ下で読むことができます。そのビデオ・メッセージで、教皇は今月「わたしは、アフリカ社会の様々な分断の中で、対話と和解を創りだしている修道女、司祭、信徒そして宣教師の皆さんに感謝したいと思います」と語っています。
 アフリカは私たちが生活している極東アジアからは地理的に非常に遠いので、その文化や歴史的背景について理解できていないことも多いのです。アジアと一言で言っても実にさまざまな民族や文化が混在しているのと同じように、アフリカは実に多様性のるつぼのような地域なのです。そして、民族、文化や生活習慣、宗教の違いは、時として紛争の火種となっていることも否定できません。
 二つの対立するグループが、和解に導かれるために大切なことは、どちらのグルーからも独立している第三者の仲介や調整です。中立な第三者は、裁判などの司法制度においても欠くことができません。二国間の交渉も、対立点が多く交渉が行き詰まっているときには、第三国で会議を開催することも希(まれ)ではありません。ですから、アフリカでの二つのグループが対立しているときに、さまざまなレベルでどちらの利害からも影響を受けない立場の人々が、錆(さび)付いたネジの中に注ぐ潤滑油のように、その隙間に入り込んで対話と和解のきっかけとなることが大切なのでしょう。その働きをしているのは、まさに外国からの宣教者なのです。
 日本の教会からも、たくさんの司祭、修道者、ときには信徒が、アフリカの地に派遣されています。日本カトリック海外宣教者を支援する会のサイト(http://www.kaigai-senkyo.jp/)では、世界41か国で約300名の宣教者が現地で活動していること、そして、アフリカの27か国の現地に派遣された宣教者からのレポートを紹介しています(「きずな」アーカイブスの各国紹介のページ)。
 今週は、対話と和解を創りだすために二つのグループの間に入って潤滑油の働きをしている宣教者、とくに、日本から派遣されている方々のために祈りをささげることにいたしましょう。