2019年7月  1.ユストという洗礼名
 2017年2月に列福された高山右近のユストという洗礼名は、ポルトガル語の「ジュスト」あるいは「ユスト」にあたり、英語のジャスティスと同じように、「正義」の意味をあらわしています。洗礼をいただいたときに、正義の人、義の人となることが望まれていたのでしょうか。父親の高山友照は、キリシタン大名としてよく知られていますが、当時の信徒の組織であったミゼリコルディア(慈悲)の組のリーダーでもありました。友照はイエズス会の宣教師ガスパル・ヴィレラを居城である沢城に招いて当時10歳だった嫡子の彦五郎をはじめとする家族とともに洗礼を受けました。友照はダリオという洗礼名をいただき、彦五郎はユストの洗礼名をいただくのですが、この彦五郎こそ改名して右近を名乗ることになります。
 正義の人、義の人になることは、神の道を歩む者にとって大切なことです。旧約聖書のミカ書には、「人よ、何が善であり 主が何をお前に求めておられるかは お前に告げられている。正義を行い、慈しみを愛し へりくだって神と共に歩むこと、これである。」(6・8)とあります。正義と愛と謙遜、この三つです。
 7月は日本の福者の記念日、「福者ペトロ岐部司祭と187殉教者」で始まりました。私たち日本の教会の大先輩と心を合わせて、神とともに歩む日々を送るように招かれています。そして今月の教皇の意向は「ゆるぎない正義」で、「正義の促進にかかわる人々が、世界に広がる不正義に対して有無を言わさず、誠実に職務を全うすることができますように」祈るようにと勧められています。この意向を心にとめ、正義を行うことが神に従う道で欠くことのできない大切なことであることと自覚し、大先輩、ユスト高山右近の生き方にならって、正義を行う日々を過ごすことを心がけて参りましょう。