2019年8月  3.8月15日
 日本のカトリック教会は「平和旬間」(8月6日〜15日)を迎え、各教区で記念行事を行いながら平和の祈りをささげています。6日に広島に原子爆弾が投下され、そして9日には長崎も被爆し、15日に戦争を終結する決定が下されて、第二次世界大戦が終わりました。教会は、この歴史の中に刻まれた10日間の出来事を、平和の礎とし、二度と戦争を起こさない決意を、毎年確認して参りました。
 さて、8月15日は、日本の教会にとって大切な日です。1549年の8月15日に、聖フランシスコ・ザビエルは、鹿児島に上陸しました。日本にキリスト教が伝えられた日が8月15日です。そのザビエルが、ロヨラの聖イグナチオらとともにイエズス会という修道会を設立したのも、1534年のこの日でした。イエズス会が京都に建設した聖母被昇天教会、通称「都の南蛮寺」の献堂ミサが行われたのも1576年の8月15日でした。16世紀の出来事です。
 またカトリック教会は、この日を「聖母の被昇天」として祝う伝統があります。1950年に教皇ピオ12世が「無原罪の聖母が地上の生涯の終わりにからだも魂もろとも天にあげられた」と定義されたように、この日はマリアが栄光につつまれて天国へあげられたことを祝います。
 8月15日は、5世紀のエルサレムで、神を生んだ方「神の母マリア」として祝われていました。6世紀には、マリアの永眠の日として東方教会で祝われるようになりました。これが7世紀に、西方教会でも受け継がれるようになりました。ローマ皇帝マウリチウスは、この祝日を国際日として定めたため、7世紀になるとほとんど全教会で祝われるようになり、8世紀には、「聖母の被昇天」と呼ばれるようになりました。
 「8月15日の日は、一切をなし終えてみたされ、祝福にみちあふれた彼女の生涯を飾る祝日であるとともに、汚れのない魂と処女を守りとおした肉体の栄光をたたえ、さらにまた、復活したキリストに彼女が完全にあやかるものとなったことを祝う日です」と、教皇パウロ6世は回勅「マリアーリス・クルトゥス――聖母マリアへの信心」で述べておられます。
 様々な出来事が起きた8月15日を迎えるにあたって、平和を願い自らを人々にささげて生きた先人たちの足跡に想いを寄せながら、平和への決意を新たにして参りましょう。