2019年8月  4.ネットワーク組織のチャンネル
 私たちが日常の生活で、あまり意識してないことの一つに、ネットワーク組織のチャンネルの数があります。いったい何のことなのかと思う方も多いと思いますが、人が集う際の人数と人々の間に張り巡らされているチャンネルの数は、人の数が増えれば増えるだけ、爆発的に増加していくことに気づいているかどうかを、問いかけているのです。
 夫と妻が2人で生活しているとき、チャンネルは1つです。そこに子どもが生まれると人数は3人になり、チャンネルは2つ増えて3つになります。もう1人子どもが生まれると、人数は4人になりますが、チャンネルは一挙に6になります。そして、3人目が授かると、人数は5人ですが、チャンネルは10に、6人では15に、7人では21になります。数学では場合の数の公式でn(n-1)/2 となります。7チームが総当たりでリーグ戦を行うと試合数は全部で21になるのと同じ考えです。
 教会は共同体です。理想的には、そこに集うすべての人が、互いに知り合っていて、そこがネットワーク組織なっていることが求められるのですが、信徒数100人の教会では、チャンネルの数は何と4950にもなるのです。教会共同体の構成員どうしの互いに愛し合う関係が4950にもなっていて、その力がより合わさって社会の福音化のために使われるのならば、莫大な力を発揮するに違いないでしょう。
 さて、教皇の今月の意向は、「家庭が真の人間的成長の学び舎となる」ようにと祈ることでした。人間的な成長は、人格的な交わりによってもたらされます。しかも、その交わりが多様であればあるほど、成長は豊かなものとなります。ということは、家庭の中に張り巡らされた交わりのチャンネルが多ければ多いほど、豊かな人間性が育つことになります。つまり、たとえ夫婦と子どもが一緒に暮らす核家族だとしても、おじいちゃん、おばあちゃん、また、叔母や叔父、従兄弟など、家族を超え親類が互いに愛し合う家庭を築いていれば、その環境で育つ子どもの人間的成長は一層豊かになるということなのです。
 子どもを、大きなネットワーク組織の中で育てましょう。人間どうしの人格的交わりの豊かさは、かけがえのない宝物となるでしょう。自分に向けられた愛の豊かさだけでなく、自分とは直接関わりのないところで交わされる愛の交わりも、成長の糧になります。
 家庭が開かれて、そこに出入りする人がたくさんいて、そこにネットワーク組織ができていて、互いに助け合い、いたわり合い、支え合い、愛し合う関係が築かれていくようにと、心を配って過ごしてまいりましょう。