2019年10月  1.信徒の預言職
 教皇の今月の意向では、聖霊の息吹によって教会に新しい宣教の「出発」がもたらされるように祈ることを奨めています。カトリック教会は、50年ほど前に第2バチカン公会議を開催して、時代にふさわしい教会への刷新を図りました。その中で、キリストの弟子となるために洗礼の恵みをいただいたすべての信徒は、福音宣教の使命に招かれていることを、はっきりと宣言しました。そして、神との交わりに中で、聖霊のはたらきによって神の啓示を預かる預言職にも招かれていることをはっきりと示しています。
 ところで、この預言職をどのように捉えたらよいのでしょうか。かつて旧約聖書の時代に、神は預言者をとおして、ご自分の道を示し、人々を救いへと導きました。モーセを初め、メルキゼデク、ミカ、エレミヤ、イザヤなどは、選ばれた民が道に迷ったり悪の誘いに苦しんだりしていた時に、神の啓示をはっきりと示されたのでした。旧約の時代に預言者たちに与えられた神の御旨を聞き分ける特別な賜物こそが預言職です。今日すべての神の民に与えられているというのです。
 そして、今日、私たち一人ひとりにもすべからく与えられているこの預言の賜物が、聖霊の息吹によって福音宣教への大きな力となるようにと、教皇は願っています。では、預言はどのような時にどのようにして私たちに示されるのでしょうか。その答えは明白です。深い祈りの中で、神との交わりの中で神と対話し、神が私に、そして私たちに望んでいる使命について識別する中で示されるのです。私たちの日々の生活の中で、神の導きを識別し、自らが置かれたその時その場で、神の御旨を生きることなのでしょう。
 この一週間、自分自身に与えられた預言の賜物を意識して、神との交わりの中で聖霊の助けをいただきながら神の御旨を汲み取って、新しい宣教の「出発」をともに歩み出しましょう。