2019年11月  1.遺族のためにも祈る葬儀
 11月は「死者の月」です。11月2日は「死者の日」として、神からいただいたいのちをお返しして、永遠のいのちの門をくぐって新しいいのちに生まれ出でたすべての人のために、カトリック教会ではミサがささげられます。
 それに合わせるように、日本の教会の今月の意向は「世を去った人々とその遺族」で「亡くなられたすべての人が父なる神のみもとで永遠の安らぎを与えられ、残された家族には慰めと励ましがもたらされますように」と祈ることを勧めています。
 私たちは、亡くなった人との告別にあたって葬儀を行い、霊魂の安寧を祈ります。ですから、葬儀は第一には死者のためのものだと言うことができます。そして、葬儀のもう一つの大きな意義は、愛する人を失った人々が、悲しみ、寂しさ、後悔の念のうちに心を震わせている状態から、一日も早く心の平安を取り戻すことができるようにすることです。心と体でその死を受けとめ、神(あるいは大いなるもの)に霊魂をゆだねて、日常の生活に立ち戻ることは、いのちをいただいて生きているものにとって、とても大切なことです。
 カトリック教会では、葬儀に際して儀式書の『葬儀』を用いて典礼を行いますが、その緒言の2には「教会の葬儀は死者のために祈ることのみを目的としているものではない。生者のために祈る場でもある。」とはっきりと述べられています。それは「神ご自身が、悲しみのうちにある遺族の力、励ましになってくださるように祈ると同時に、洗礼によってキリストの死に結ばれた者が、その復活にも結ばれることができる、という復活への信仰を新たにし、宣言する場でもある。」としています。
 「死者の月」にあたって、愛する人を失った悲しみのうちに生きる人に「慰めと励ましがもたらされますように」祈りをささげてまいりましょう。