2020年1月  2.いのちを守る実践の積み重ね
 日本の教会の2020年の初めの意向は、記憶も新しい教皇フランシスコの来日のテーマ「すべてのいのちを守るため」とぴったりと重なって、「いのちを守る」です。
 私たちの生活は、日に日に便利さを増しています。さらに情報革命といわれる情報の電子化によって、人々の間のコミュニケーションも、驚くほどの頻度で、また空間的な距離を超えて行われるようにもなりました。このような便利さの追求は、当然のことながらエネルギー消費の拡大を伴ってきました。そして、とうとう私たちのこの地球は、このままエネルギー消費を続けていくと、破綻してしまうことが明らかになったのでした。
 世界中がそのことに気づいて、1992年に国連でエネルギー消費が著しい先進諸国に対して法的拘束力を持つ排出ガス削減の目標が盛り込まれた条約が採択されました。それから30年あまりが経過しましたが、気候変動の危機はいまだに私たちの脅威となっています。2015年にはCOP21という国際会儀で、将来にわたる削減の目標が審議されて、パリ協定が締結されたのですが、その後なかなか目標を達成することが難しく、その協定からの離脱を表明する国も現れています。先進国のわがままが、地球の気候変動を助長しているとしか思えません。
 一方、国連はSDGs(Sustainable Development Goals)という標語のもと、持続可能な発展に発想を切り替えるための運動を展開し、中学校、高校の教育の中でも取り入れられるようになっています。その運動は、私たちの日々の生活を見直すよい機会になっています。今や、生活そのものを簡素にして、地球に優しい生活をすることは、私たち一人ひとりに求められています。人間ばかりでなく、この地球で生命活動を営むすべての被造物のいのちが守られるために、思い切って私たちの生活様式を改善する必要があるのでしょう。
 日本の教会は、「すべてのいのちが大切にされる世界を作るために力を尽くすことができますように」と祈るように薦めています。環境問題だけに限らず、死刑制度や核使用に関する問題もいのちに繋がっています。「力を尽くす」ということは、実践することにほかなりません。年の初めに、この一年間の自分の改善目標を設定し、地球に優しい生活を実践することを意識した毎日を積み重ねることができますように、心がけて参りましょう。