2020年1月  5.世界終末時計
 アメリカの科学誌『原子力科学者会報』(Bulletin of the Atomic Scientists)は、「世界終末時計」の針が過去最悪とされた2018年よりもさらに進んだと発表し、世界各国の政治的指導者に、核戦争の危機を回避すること、環境破壊による異常気象に対策を講じることなどを警告しています。
 世界終末時計は、日本への原子爆弾投下から2年後、冷戦時代初期の1947年に『原子力科学者会報』の表紙絵として誕生し、以後、同誌は定期的に委員会を設けて、その「時刻」の修正を行ってきました。人類滅亡の危険性が高まれば針は進められ、逆に危険性が下がれば針が戻されることになります。1989年からは、核兵器の脅威のみならず、気候変動による環境破壊や生命科学の負の側面による脅威なども考慮されています。
 終末時計はいわば仮想的なものですが、原人ホモ・エレクトスの誕生から180万年という悠久の時を経てきた私たちの人類はこのままでは間もなく滅びてしまうという警鐘にほかなりません。
 教皇が今月の意向として掲げた「世界平和の促進」は、まさに世界終末時計の針を逆戻りさせるためのものです。日本の教会の意向である「いのちを守る」うえでも、世界終末時計の発想に込められた人類滅亡の危機を意識して、日々の生活を営むことが求められているのでしょう。
 この地球上のいのちが1秒でも長く続きますようにと、祈ってまいりましょう。