2020年2月  3.児童虐待
 日本の教会は、子どもたちが無条件に愛されるように、ともに祈ることを、今月の意向として掲げています。そこで今、児童虐待について整理し、私たちにできることは何か、思い巡らしてみましょう。
 将来に希望を寄せている子どもたちにとっては悲しい現実ですが、児童虐待は大きな社会問題となっています。今年1月末に発表された国の統計資料でも、2018年度に全国の児童相談所に寄せられた相談に対応した件数は15万件を超えています。ドメスティック・バイオレンス(DV)の一形態である児童虐待は、子どもである被害者が虐待に遭っていることを自分で表明できないことから、実態はこの数字の数倍の虐待が行われているとも言われています。
 なぜ、このような悲しい出来事が頻繁に起きるようになったのでしょうか。様々な研究がなされていますが、子どもを育てている親や家族が困ったとき、追い詰められてしまったときに、相談できる人が身近にいないことが大きな要因だとされています。子育てをしていると、子どもが親の言うことをきかない、親の思うとおりに行動してくれない状況にたびたび遭遇します。これはどの家庭でも、どの親子の間にも起きることなのですが、大人の心身の状態が芳しくないときには、つい手を挙げてしまうことにもなります。そして、その結果として、子どもが親の言うなりになると、身体的暴力や言葉による暴力は子どもを育てる愛の鞭としてやってもかまわないと親は思うようになり、それが次第にエスカレートしていってしまうのでしょう。
 児童虐待には、殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせるなどの「身体的虐待」、子どもへの性的行為、性的行為を見せる、ポルノグラフィの被写体にするなどの「性的虐待」、家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなどの「ネグレクト」、そして、言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(DV)などの「心理的虐待」の4つの領域があります。子どもの様子から、少しでもこのような虐待が行われているような気配が感じられたら、誰でも児童相談所に連絡することが求められているのです。繰り返しになりますが、子どもは自分から被害を申し出ることができないからです。
 子どもの様子に心を配りながら、虐待を見過ごすことがないように努めて、この一週間を過ごしてまいりましょう。