2020年5月  1.終身助祭のはたらき
 教皇は、今月の意向として「助祭のために」を取り上げ、「・・・助祭が、全教会を活き活きとさせるシンボルとなることができますように」と祈るように奨めています。カトリック教会での助祭には、司祭職を目指す助祭と助祭の身分にとどまる終身助祭とがありますが、教会でのはたらきは基本的に同じで、司教に仕え、司牧研修や小教区において司祭の補佐を果たし、福音朗読と説教、洗礼の授与、結婚式の司式、教会の運営などを行います。司祭がミサをささげる時も、助祭は、福音朗読と説教を行うことができます。
 助祭は、その源を使徒の時代にさかのぼることができます。使徒言行録6章に、ステファノたち7人が選出される経緯が記されていますが、この7人がフィリピの信徒への手紙1章1節の奉仕者にあたり、その資格についてはテモテへの手紙一3章8節から13節で述べられています。奉仕者はギリシャ語のディアコノスですが、その後のキリスト教会では時代や教派によって役割が異なっています。また、英語ではdeaconですが、日本語では教派によってその訳語が違います。カトリックでは助祭ですが、正教会では輔祭(ほさい)、プロテスタントと聖公会では執事となっています。
 カトリック教会では、既婚者も終身助祭になることができます。ですから、教会でのリーダーが、一般の社会生活を一段落された後に、教会への奉仕を使命として選定し、養成を受けた後に司教から按手を受けて叙階されることが多く、高松教区では2019年に、国立大学で教鞭をとった後に私立大学の学長を務めた方が、叙階されました。
 世界のカトリックを概観しても、終身助祭が増加している傾向が読み取れます。2018年の統計によると、世界全体の終身助祭の人数は46,312人で、前年より1,057人増加しました。1,057人の内訳は、アメリカ842人、ヨーロッパ145人、オセアニア45人、アフリカ22人、アジア3人となっていて、すべての大陸で増加の傾向にあります。
 祭儀の時にストラを斜めにかけて奉仕する助祭のはたらきは、司祭への召命が減少する教会にあって、大いに期待されるところです。5月3日の世界召命祈願の日を準備するなかで、終身助祭のはたらきに感謝し、その召命も一層促進されますように、ともに祈りをささげてまいりましょう。