2020年6月  1.イエスのみ心
 カトリック教会では、6月を「イエスのみ心」の月とする慣(なら)わしがあります。全人類に対する無限の神の愛の象徴としてイエスの心臓を表してたたえるものとして中世に始まりました。聖マルガリタ・マリア・アラコックが、1675年6月16日に、聖体を前にしてイエスの愛に応えたいという思いに駆られたとき、イエスが出現して愛に燃えているみ心を示し、人々の間に存在する冷淡な心を嘆かれ、イエス自身の愛に倣ってその心を尊ぶことを勧められたことから、17世紀にフランスで広まりました。そして、この啓示以来、このようなイエスの出現が数回にも及び、イエスのみ心を礼拝する特別な祝日として定めるようにとのお告げにより、み心の信心の内容と形式が明確にされるようになりました。1856年には、教皇ピオ9世によってイエスのみ心の祭日が「キリストの聖体」の祭日後の金曜日に全世界で祝うことが定められました。また、ご自分の心臓を人びとに示し、その心臓から光が満ちあふれている聖画がたくさん描かれてきました。
 教皇フランシスコは、今月の福音宣教の意向として、「み心の道」をとりあげ、「苦しむすべての人が、イエスのみ心に動かされ、生きる道を見いだすことができますように」祈ることを勧めています。み心の信心は、教会において基礎となるものであり、キリスト教の中心と言えるものです。イエスのみ心の限りない愛に対して、愛をもって応えるというみ心の信心の目的を深く心に刻み、また、すべての人が神の無限の愛をイエスの愛の行いを通して受けとめることができるようにと祈り願い、この一週間を過ごしていきたいものです。