2020年6月 2.心を開く |
![]() 路上での生活を余儀なくされているからといって、その人が必ずしも孤立している状況にあるとは限りません。同じような境遇となった人たちと、互いに支え合いながら暮らしている人もたくさんいます。家族と一緒に暮らしていても、意向の説明にあるように「人格的な交わりを失って孤立している人」もいます。多くの場合、心に傷があって、人との関わりのなかで受けた辛く苦しい体験をしているのです。「誰も信じない」と心を閉ざして、うずくまっているのでしょう。 孤立した人の心を開くには、その人の心に触れることを、避けて通ることができません。心に触れられることを拒んでいるのですから、簡単なことではありません。「私に親切にしてくれるのには、何か魂胆(こんたん)があるのだろう」といつも疑いの目でにらみつけています。心を傷つけられるのが恐ろしいのです。では、どのようにすれば、ぴったりと閉ざされた心を開くことができるのでしょうか。そのヒントは、「あしがらさん」にあります。それは、愛の無償性です。アガペーです。何の報いも得られないのになぜ関わりをもつのかという問いは、関わりを拒んでいる人の心を開く「鍵」なのではないでしょうか。 心を閉ざして孤立している人々に、無償の愛で関わることができるようにと祈り願いながら、この一週間を過ごしてまいりましょう。 |