2020年6月 3.貧困層の子どもが増加 |
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界経済が大きな打撃を受けています。感染拡大を防ぐためには、人との接触を避け、家庭に留まることが求められました。日本でも、不要不急の外出を控えて、自宅でのテレワーク(インターネットなどの通信手段を利用した仕事の進め方)が推奨され、保育園・幼稚園や学校は休みとなり、デパートや遊園地・テーマパークが閉鎖され、日常の経済活動は半分も行われない状況が2カ月にわたって続きました。 WHO(世界保健機構)は、いまだに感染が拡大しているとして、警戒を呼びかけています。世界経済の低迷はリーマンショックの影響を受けた時よりもさらに深刻で、1929年に始まった世界恐慌を上回る規模で進行すると予測している経済学者もたくさんいます。このような状況では貧困が一層進み、しかも弱い立場にある人たちが真っ先に大きな影響を受ける傾向があります。 最も弱い立場にある人、それは子どもです。ユニセフの分析によると、今回の感染症対策で、世界の18歳未満の子どもの約77パーセントにあたる18億人ほどが、何らかの移動制限を課している132カ国に暮らしています。子どもたちは、暴力や虐待、ネグレクトの被害を受けるリスクが高まっていますし、ましてや難民、移民、国内避難民の子ども、帰還者は、サービスや保護へのアクセスが低下し、外国人への嫌悪や差別にさらされる機会が増えています。 さらにユニセフは、今回のパンデミックが経済に及ぼした影響により、2020年末までに貧困下の子どもが15パーセント増加し、最大8600万人の子どもが新たに貧困に追い込まれる恐れがあるとする新しい分析結果を発表しました。パンデミック以前から、世界の3分の2の子どもはいかなる社会的保護も受けられていない状況でした。貧困の世代間連鎖が助長されるなか、家庭が経済的苦難に耐え抜くことは困難です。 貧困に苦しむ子どもたちが、教皇の意向に示されたように「イエスのみ心に動かされ、生きる道を見いだすことができますように」と心を合わせて祈り、また、私たちも困難な状況にある中で、貧困の撲滅、特に子どもたちの貧困をなくすために、一人ひとりができることは何かを考える一週間と致しましょう。 |