2020年7月 1.教会と3つの密 |
新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界での累計感染者数が1000万人に達しようとするまでに広がりを見せてしまいました。日本では第1波が収まる傾向を見せていますが、世界的には1週間のうちに1.7倍にも増加するといった傾向が続き、WHO(世界保健機構)は、ワクチンと治療薬の開発が進むまで、全力を挙げてこの脅威から人命を守らなければならないと警告を続けています。 日本の教会は今月の意向として「オリンピック・パラリンピック」を取り上げて、主催国の信仰者として、平和の祭典のために祈ることを願っていましたが、1年後への延期の決定を受けて、急遽「新型コロナウイルスの感染終息を願って」に変更することになりました。教皇のビデオでも、3月には特別な意向として「パンデミックの終息」を取り上げ、また先月の「み心の道」の映像の中にも、この感染症と最前線で戦う医療従事者の映像を用いていました。 日本のカトリック教会は、感染の拡大を防ぐために、ミサなどの礼拝や集会、黙想会や研修会などを執り行わない措置をとってきました。皮肉なことに、「3密」という密閉、密集、密接から名づけられた言葉は、教会活動の根本を示すキーワードです。ガリラヤで戸に鍵を閉めて集っていた弟子たちの真ん中に復活したイエスがお立ちになった場面は、まさに3密です。しかし、日本で集団感染が起きた場所の共通点を探した際に、この3つの密が共通となっていることが分かり、ウイルスへの感染を避けるためにはこの3密を控えることが強く求められるようになったのです。そして、緊急事態宣言が解除されてからも「新しい生活様式」と銘打って、3密を避ける工夫が求められ続けています。私たちは心のふれ合いによる愛の実践と3密を避ける生活様式を同時に満たすことを模索しなければならなくなっています。 未知のウイルスに遭遇した人類は、時の経過の中でその対処方法の知恵を見いだしていくでしょう。しかし、今回のパンデミックの経験は、私たちの生活を根本から見直すように促しているようにも感じられます。そのような今日の状況の中で、ワクチンや治療薬が開発されてこの感染症に恐怖を抱くことがない時が一日も早く到来することを祈り願い、また、新しい生活様式の中で愛のみ業を行う道を見つけることができるようにと祈り願い、この一週間を過ごしてまいりましょう。 |