2020年7月  4.子どもと遊ぶ
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、終息の目途が立ちません。感染防止対策が子どもの成長に大きな影響が出ることが心配されます。学校生活では、長い休校期間や分散登校のために、授業時間の確保が優先されて、行事や課外活動が制限されている現状があります。また、一学期の修業期間が7月末まで延長となり、夏休みの期間も短縮されて、家族と旅行に出かけたりレジャーを楽しんだりする機会も少なくならざるを得ません。経済活動への多大な影響はとても深刻な状況にありますが、子どもたちの生育環境を守ることにも充分に配慮してまいりましょう。引き続き心を合わせて、パンデミックの終息のために祈りをささげてまいりましょう。
 さて、教皇は今月の意向として「家族」を取り上げ、ビデオの中で「時に両親は子どもたちと遊ぶことを忘れてしまいます。」と述べています。親が家庭に留まって生活する時間が増えているとしても、子どもと積極的にかかわるゆとりは生まれてこないのが現状でしょう。ですから、親は、特に父親は、意識して子どもと遊ぶ時間を作るように心がけたいものです。
 父親が子どもと過ごす時間について、あるいは、家事にかける時間についてのいくつかの国際比較調査の結果を見ると、日本はその時間が少ない傾向が表れています。「おかあさんといっしょ」というタイトルの幼児向け番組が60年以上放送されていることに示されるように、日本では育児は母親の責任といった考えが強い状況を反映している結果だと言うことができますが、子どもは父親ともかかわりたいと願っていることを忘れてはなりません。
 社会全体が感染症の拡大を恐れて、不安な、また不安定な状況にあると、子どもたちはその雰囲気を敏感に感じ取って、不安定になります。そのような時こそ、すべてを委ねて、全幅の信頼を寄せている親が、笑顔で子どもと遊ぶことが必要なのでしょう。親が、特に父親が子どもとかかわることができるようにと願い、また、その機会を増やすことができる手助けができるようにと祈り願いながら、この夏を過ごしてまいりましょう。