2020年8月  1.上陸できない船員
 日ごとに新型コロナウイルスの感染者数が増加する傾向が続いています。不要不急の外出をひかえ、3つの密を避けて、感染防止に努めなければなりません。しかし、経済活動が停滞してしまうと、収入の道が閉ざされ、生活の基盤を失って困窮してしまう人々がますます増えて、その影響は特に貧しい生活を強いられている人々に表れてしまいます。一日も早くワクチンと治療薬が開発され、見えない敵との戦いに終止符を打つ日が訪れますようにと、祈りを続けてまいりましょう。
 教皇は今月の意向に「海に携わる人々」を掲げています。海運の関係の方々、漁業に従事している方々は、何日もの間、時には何ヶ月もの間、家族から離れて船の上で仕事に従事し続けています。その方々の海上での困難な生活について思いをいたし、安全と健康を祈り願いましょう。
 コロナ禍は、海に携わる人々にも多大な影響を与えています。6月の半ばに配信されたニューヨーク発のニュースで、「国連のドゥジャリク事務総長報道官が、世界で200万人いる船舶乗務員のうち数十万人がどこにも上陸できず、数カ月にわたり海上に取り残されているとして懸念を示した」ことが報道されました。海上生活が15カ月に及ぶ船員もいるということです。国連のグテーレス事務総長は人道危機だとして、国連加盟各国に対し「船舶乗務員らを『重要労働者』と公式認定し、要員の安全な交代を保証する」ことを呼び掛けました。
 新型コロナウイルスに感染し発病した方が乗船しているクルーズ船が、港への接岸を拒否されて彷徨したといった報道も伝えられて、心が痛みます。国や宗教、人種などの違いを越えて、互いに励まし合い支え合って、この難局を乗り切ることができるように、特に海に携わる人々に禍(わざわい)が偏って降り注ぐことのないようにと、祈り願ってまいりましょう。