2020年10月  3.女性の奉仕職
 教皇フランシスコは、今月の意向として「教会における信徒のミッション」を取り上げました。そして「特に女性の信徒が教会の責任ある分野にいっそう参加することができますように」と祈るように奨めています。
 教会での奉仕職は、古くは5世紀頃にさかのぼります。「侍祭」と呼ばれ、ミサのためにろうそくを灯し、ぶどう酒や水を準備する役割をもっていました。その後、トリエント公会議(16世紀)で、この役割は司祭候補者に限られましたが、ミサのためには少なくとも一人、司祭がささげる祈りに応答する人が必要なために、「侍者」あるいは「ミサ答え」と呼ばれる少年が奉仕するようになりました。
 20世紀、第2バチカン公会議を経て教皇パウロ6世は、司祭候補者に限られていた「侍祭」を廃止して、信徒も担うことができる教会奉仕職と宣教奉仕職の2種類の奉仕職を定めました。しかし、公会議の公文書「典礼憲章」で「母なる教会は、すべての信者が、典礼の執行への、充実した、意識的な、行動的な参加へ導かれるようせつに希望している」と記されたにもかかわらず、この奉仕職は男性だけに限られていました。
 そして、1994年4月に、バチカンの典礼秘跡聖省は、祭壇での典礼への奉仕を、女性にも認めることとしました。ですから、カトリック教会は四半世紀ほどしか女性の奉仕職を経験していないことになります。女性が聖書朗読を担当することや、侍者、聖体奉仕者として奉仕することは、今でこそ全く違和感がありませんが、当時は、侍者服姿の女性がまぶしく目に映ったと語る司祭もたくさんいました。
 さて、パウロ6世の1972年の書簡によれば、教会奉仕職とは、「助祭を助け、司祭に仕えるために選任される。したがって祭壇の奉仕を務め、典礼行為、特にミサの祭儀において司祭と助祭を助ける」とされ、一般的には祭壇奉仕者、あるいは侍者と呼ばれる役割を担っています。また、宣教奉仕職について、「宣教奉仕者は、典礼集会において神のことばを朗読するという固有の任務のために選任される。したがって、ミサとその他の聖なる祭儀において、聖書(福音書を除く)を朗読し、詩編唱者が不在のときには聖書朗読の合間に詩編を歌唱し、助祭または歌唱者がいないときには共同祈願の意向を唱え、歌による会衆の参加を指導し、諸秘跡をふさわしく受けるよう信徒に教える」とあります。一般的には朗読者と呼ばれている役割です。
 女性の奉仕職は、2000年の教会の伝統の中で極めて歴史が浅いだけに、なお一層の充実を願って教皇の意向として取り上げられました。この女性の奉仕職に思いをいたしながら、日々を過ごしてまいりましょう。