2020年12月  4.祈りの設計図
 教皇は2020年を締めくくるにあたって、「祈りの生活」を意向として掲げています。祈りの大切さについては、教皇フランシスコが、宣教や講話でたびたび言及し、ともに心を合わせて祈ることで、大きな力が生まれると説いておられます。また、一人ひとりが神と対話することによって、与えられた使命に気付き、悪を退けてそれを全うすることができるようになるとも、述べておられます。
 祈りを深めるためには、振り返りがとても役に立つことを、先週のこの欄で紹介致しました。さらには、祈りの時をどのように過ごすかについて大まかに描いた「祈りの設計図」を準備しておくと、祈りが散漫になったり軸が揺らいだりすることがなくなります。では、設計図に何を描けばよいのでしょうか。
 準備の3点セットと言われている設計図の描き方もあります。その3つとは、(1)祈りの場所と時間を決める、(2)祈りの素材を決める、(3)祈りの意向を掲げる、です。まず、どこでどのくらいの時間を神との交わりの時とするかを決めます。教会の聖堂で30分、あるいは、道を歩きながら1時間、あるいは、通勤電車の中で15分、など、一人になって心の沈黙を保つことができる場所と時間を設定します。次に、どのようにして、神の世界に足を踏み入れ、その憐れみといつくしみを体感するか、その入り口を決めます。神の世界への入り口は、大きく分けて3つがあります。みことば、自然の営み、日々の生活です。みことばを用いる時には、次の日曜日の朗読箇所や、その日の朗読箇所などを使うのもよいでしょう。そして、祈りの意向を掲げます。自分がその時に神に切に願いたいことは何かを1つ決めます。自分の健康でも家族の健康でもかまいません。地球の温暖化についてでも、あるいはコロナ禍の終息でもかまいません。あれもこれもではなく、その祈りの時に神に願うことを絞っておくようにします。この3点セットをしっかりと祈りの設計図に描いて、祈りに入ります。そして、予定していた時間が過ぎたら、そこできっちりと祈りを終えます。今度は場所などを変えて振り返りに進むようにします。
 今月の第一週「祈りは双方向」で紹介した「レクチオ・ディヴィナ(霊的読書)」も祈りの先達が描いた設計図の一つです。漠然と祈りに向かうのではなく、神との交わりを豊かにするために設計図を手に進むことを、是非お勧めします。