2021年1月  3.キリスト教の呼びかけ
 新型コロナウイルスへの感染者が爆発的に増加して、政府が緊急事態宣言を発出する事態となりました。一人ひとりが、自覚を持って感染防止対策を講じ、いのちを第一に行動することが切に求められています。
 教皇は、今月の意向で、諸宗教の兄弟姉妹と互いのために祈ることを呼びかけています。今こそ、信仰や教義の違いを超えて、人類にとっての新たな脅威である感染症に立ち向かうことが求められています。このようなパンデミックの状況のもとで、キリスト教は、カトリック・プロテスタントの違いを超えて、たいへん重要な文書を発表しました。「諸宗教の連帯による傷ついた世界への奉仕──コロナ危機とその後における省察と行動を求めるキリスト教の呼びかけ」という少し長いタイトルですが、これはプロテスタントの世界教会協議会(WCC)とカトリックの教皇庁諸宗教対話評議会(PCID)による共同文書で、次のような目的のためです。
 「イエスは、仕えられるためではなく仕えるために来られました(マタイ20・28)。善いサマリア人の愛と寛大さに倣って、弱い人、弱い立場に置かれた人を支え、苦しむ人を慰め、痛みと苦しみを和らげ、すべての人の尊厳を確保するよう努めましょう。心を広げて対話し、手を広げて連帯し、癒やしと希望に満ちた世界をともに築くことができますように。(17頁「結論」より)」
 もちろん、私たちの望みは早期の終息にありますが、この文書が強調しているように、最も苦しんでいる人々は、社会の中で弱い立場に置かれた人々であることを認識し、その人々のために私たちが今できることを行動に移すことではないでしょうか。日本でも、職を失った人、経営が成り立たなくなり廃業に追い込まれた人、生活が困窮して自らの命を絶ってしまった人など、多くの報道がなされています。
 文書のタイトルにあるように、また教皇の意向にもあるように、諸宗教が協力し合って、苦しみの中にある人々とともに、力強く生きていくことができるようにと、祈りをささげてまいりましょう。