2021年2月  4.ゆるしの奉献文
 四旬節を迎え、私たちは生活を見直して神に立ち返る日々を送るように招かれています。新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの接種もはじまり、また感染拡大は歯止めがかかってきましたが、まだまだ予断を許さない状況にあります。パンデミックの終息のために、祈りを続けてまいりましょう。
 日本の教会は、性虐待被害者の尊厳を回復する社会を築くことを意向に取り上げました。教皇フランシスコは、教会の聖職者による性的虐待の問題、特に児童に対する問題に教会が全体として真摯に取り組み、その罪を認め、ゆるしを願い、また被害に遭った方々と教会がともに歩むことを求めておられます。またそのために、特別の祈りの日を設けるように指示されました。そして日本の教会では、四旬節の第二金曜日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」と定めました。今年は3月5日にあたります。
 そして、その日のミサにおいてはゆるしの奉献文を用いるように奨められています。
 「父なる神よ、わたしたちの主イエス・キリストによって、この世界でなしとげられた愛のみわざに感謝し、あなたをほめたたえます。分裂と不和に苦しむ人類に、いつくしみ深いあなたは 一致への道を備えてくださいました。聖なる息吹を人々に注ぎ、敵対する人が対話に向かい、対立する人が互いに手を取り合い、平和のうちに歩むよう導いてくださいます。ゆるす心を与えられたわたしたちは、今、世界の平和を求める人々とともに、天使の声に合わせ、あなたの偉大なわざをたたえて歌います。」
 これは、ゆるしの奉献文2の叙唱です。教会はその歩みの中でたくさんの大きな過ちを犯してきました。過ちに気付いたとき、またその過ちが明るみに出されたとき、私たちの最初の反応は「絶対にゆるされないことだ」と加害者を非難する気持を沸き上がらせます。しかしイエスは「ゆるす心」を望んでおられることを、この奉献文が思い出させてくれます。過ちを認めない者には、それが正義に反することであると諭すために、公正な裁きが必要です。しかし、同時にゆるすことも必要なのです。私たちが日々唱える主の祈りにおいて、人と人との関係についての教えは、ただ一つ「人をゆるします」であることに思いをいたし、この一週間を過ごしてまいりましょう。