2021年6月  1.病気のときも
 「順境にあっても逆境にあっても、病気のときも健康のときも、生涯、互いに愛と忠実を尽くすことを誓います。」これはカトリック教会での結婚式で唱えられる誓いのことばです(第二形式、第三形式)。ことばの順番に注目すると、「健康のときも」よりも「病気のときも」が先に来ていることに気づきます。結婚した二人が生涯のうちに経験することは、必ずしも良いこと、好ましいことばかりではありません。無償の愛に裏付けられた互いの支えは、逆境にあるとき、病気のときこそ、真価を発揮するのでしょう。ですから、誓いのことばに、調子の悪いときのこともあえて取り上げているのです。
 教皇は、結婚の準備をすすめている若者のために「寛大さ、誠実さ、そして忍耐をもって、愛を育むことができますように」と祈ることを奨めています。このことばは、コリントの信徒への手紙の「愛の賛歌」と言われている箇所を連想させます。「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。」(一コリント13:4-7)
 愛を育む中で大切なことの一つに、相手の弱さを受け入れることがあります。この人と生涯にわたってともに人生を歩んでいこうと大きな心の動きを感じたときには、おそらくその人の良い面、すばらしい面、自分には欠けている面が映し出されているに違いありません。しかし、どんなにすばらしい人物であっても、必ず弱さも持ち合わせているのです。状況に応じては、それまで強さだった部分が崩れてしまって、一挙に弱さに転じてしまうことさえあります。そのようなときでも、弱い、あるいは弱くなった相手を受け入れることが必要となります。
 ジューン・ブライドということばがあるように、6月は結婚式のシーズンです。いずれのカップルも、特に病気になったときの相手の弱さをも受け入れる愛を育んでいくことができますようにと、教皇と心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。