2021年6月  3.婚姻数の減少と少子化
 厚生労働省はこの4日に、2020年の人口動態統計を公表しました。そこで注目されたのが婚姻数で、その数は戦後最少の52万5490組でした。前年の2019年は、元号が変わったことによるいわゆる令和婚のためか、7年ぶりに婚姻数が増加していましたが、その反動とコロナ禍にあって時期を遅らせることを選択したカップルがあったことも重なり、2020年は前年より7万3517組(12.3%)の減少となっています。
 出生数も、84万832人と前年より2万4407人減少し、5年連続で過去最少を更新しました。一人の女性が生涯に産むことが見込まれる子どもの数を示す指標である合計特殊出生率は、1.34で、これも前年を0.02ポイント下回りました。このように、日本での婚姻数の減少と少子化の進行が、統計によってはっきりと示されています。
 では、どのような理由で若者は独身を選ぶのでしょうか。国立社会保障人口問題研究所が行った出生動向基本調査の結果から、その動向を探ってみました。この調査では、18〜24歳と25〜34歳に分けて分析を行っています。
 まず、低い年齢層では、「まだ若すぎる」「まだ必要性を感じない」「仕事や学業に打ち込みたい」など、結婚する積極的な理由が見当たらないといった意見が多く挙げられます。特に「仕事や学業に打ち込みたい」と答える女性は年々増加傾向にあり、女性の社会的な役割の変化が大きく影響していることがわかります。また「結婚資金が足りない」という回答も比較的多く、結婚したくても経済的な事情で難しいと感じている若者も決して少なくないようです。
 一方、高い年齢層では、「適当な相手にめぐり会わない」という理由が男女ともにトップでした。年齢層が上がるにつれ、「結婚しない」のではなく「結婚できない」と感じている人が多くなっているようです。さらに若い年齢層と同じく、「結婚資金が足りない」と回答した割合も高く見られました。年齢層を問わずに、経済事情の厳しさが結婚へ大きく影響しているようです。とはいえ、どちらの年齢層においても「趣味や娯楽を楽しみたい」「自由さや気楽さを失いたくない」という理由も多く、まだまだ独身を謳歌したいと感じている人が多いこともわかります。
 さて、教皇は今月の意向のタイトルを「結婚の美しさ」と表現しています。自分一人の人生では叶えられない豊かなものを秘めている結婚に向けて、若者がさまざまな困難を乗り越えて、良い準備をすることができますようにと、心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。