2021年7月  1.「あなたがたを友と呼ぶ」
 イエスは弟子たちに「あなたがたを友と呼ぶ」(ヨハネ15:15)と話されました。これはぶどうの木のたとえ話のあとで、「互いに愛し合いなさい。これがわたしの命令である」(同15:17)の黄金律ともいわれているみことばの前に話されたことです。
 教皇は、今日さまざまの場面で起きている紛争や対立を憂いて、その解決に向けて祈りをささげるように招いていますが、この鍵となることばを「友情」に求めています。そして、今月の意向は「勇気と情熱をもって対話と友情を築くことができますように」と祈るように奨めています。友情は、イエスが最も大切にした人間関係です。師弟の関係を超えて、互いを人としてその権利と尊厳を尊重し、上下、主従の関係を超えて平等となる関係です。
 教皇が奨めているこの友情は、個人と個人との間ではそれを確認することが比較的容易なのですが、グループや、組織、ましてや国家の関係の中で組み立てることは容易ではありません。国家間には「友好国」という表現があります。互いに平和的で協力的な外交関係が実現されている国家間を形容する言葉ですが、恒久的な関係が保証されているわけではありません。 
 国家といえども、その構成員である一人ひとりの存在から成り立っています。人々が国境を越えて友情を育むことができれば、おそらく国家間の平和が実現されるのでしょう。イエスのことば「あなたがたを友と呼ぶ」を思いめぐらし黙想して、私たちも異国、異文化のかたがたを「友」と呼ぶことができるようにと、祈りをささげる一週間といたしましょう。