2021年8月  1.教会とは
 教皇は今月の意向として教会を取り上げました。そして私たちが集う教会が、「福音の光の中で自らを刷新する恵みと力をいただくことができますように」と祈ることを奨めています。
 キリスト教が、弟子たちの共同体からはじまり、一人ひとりがイエスに倣って、正義と公正を重んじて互いを大切にしながら、平和で愛に満ちあふれた世界を築き上げていきたいと願う人々の集いへと拡がっていきました。そして、4世紀に入って、ニケアという現在のトルコにある都市で、キリスト教の教義についてのさまざまな解釈の違いから生じる対立を討議する公会議が開かれて、信仰の骨格が定められました。
 それは、カトリック教会では「ニケア・コンスタンチノープル信条」として受け継がれ、父と子と聖霊の三位一体の神、キリストの死と復活、罪のゆるし、永遠のいのちなどが信仰の核心に位置づけられています。この信条の中に、「わたしは、聖なる、普遍の、使徒的、唯一の教会を信じます」という一文があり、教会についても考え方が共有されました。教会は、「招集」「人々の集い」という意味のギリシャ語のエクレシアの訳語で、神の呼びかけで人が集まるという意味です。ですから、施設や建物のことではなく、また組織や団体のことでもありません。
 キリストに結ばれた人々の集いである教会は、キリストによって聖化されます。教会の中で、神の恩恵によって聖性を獲得します。これが聖なる教会の意味です。教会のうちにキリストが現存し、時間と空間を超えて存在するので、その意味で教会は普遍です。また、キリストの呼びかけは全人類に向けられているので、その意味でも教会は普遍です。教会に集う一人ひとりは、キリストに倣って、弟子として生きることを選んでいますので、教会は使徒的です。また教会の最高牧者である教皇は、使徒ペトロの後継者として位置づけられています。そして、だだ一人の主を持ち、ただ一つの信仰を公言し、ただ一つの洗礼から生まれているので、教会はただ一つです(カトリック教会のカテキズム866〜869参照)。
 カトリック教会だけでなく、他のキリスト教諸派においても承認されているニケアの会議で合意された教会の考えに基づいて、教会とは何かを確認してみました。このような教会が、常に自らの歩みを丁寧に振り返りながら、神の御心を求めて刷新する力と恵みをいただくことができるように、心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。