2021年10月  1.基本方針と優先課題
 10月は宣教の月です。教皇庁の宣教事業を担当する部署からは10月24日の2021年「世界宣教の日」に際してのテーマ「わたしたちは、見たことや聞いたことを話さないではいられないのです(使徒言行録4・20)」のテーマと教皇メッセージが発表されています。「きょうをささげる」でも、教皇の福音宣教の意向も日本の教会の意向も宣教を取り上げ、一人ひとりに与えられた使命を果たすことができるように、共に心を合わせて祈るように奨めています。 
 日本の教会では、第2バチカン公会議の意向を受けて、1984年6月22日付で宣教についての「日本の教会の基本方針と優先課題」を日本カトリック司教団として発表しました。以降、この基本方針は変更されていませんので、35年以上の歳月を経た今日でも、この基本方針がそのまま保たれていることになります。ですから、宣教の月のはじめに、これを確認しておくことにいたしましょう。
 基本方針は以下に掲げたように、2つから構成されています。
 1. 私たちカトリック教会の一人ひとりが、宣教者として、まだキリストの食卓を囲んでいない人々に信仰の喜びを伝え、より多くの人を洗礼に導き、彼らとともに救いのみ業の協力者になる。
 2. 今日の日本の社会や文化の中には、すでに福音的な芽生えもあるが、多くの人々を弱い立場に追いやり、抑圧、差別している現実もある。私たちカトリック教会の全員が、このような「小さな人々」とともに、キリストの力でこの芽生えを育て、すべての人を大切にする社会と文化に変革する福音の担い手になる。
 1つ目は洗礼を通して人々を教会に迎え入れる直接宣教であり、2つ目はキリストの愛に満ちあふれた神の望みどおりの社会がこの地上に完成するよう、御国の建設に尽くすことで、社会の福音化がなされ、この業にひとりでも多くの仲間を迎えてともに喜びのうちにこの使命を生きることです。この2本の柱のどちらかが欠けてしまっても宣教の目的は達せられません。まるで車の両輪のように、どちらもとても大切な要素です。
 その目標を達成するために、当時は3つの優先課題が掲げられました。
 1. 教区、小教区を宣教共同体となるように育成する。
 2. 修道会、宣教会、諸事業体(学校、施設)と具体的な協力体制を敷く。
 3. 1987年に、司教、司祭、修道者、信徒による福音宣教推進全国会議を開催し、それを目標に準備に取り組む。
 このような宣教における私たちの立ち位置を、この機にしっかりと受けとめ理解し、それぞれが日々一人の宣教者として、皆と協力して未来の建設のために自分をささげることができますようにと、祈りをささげてまいりましょう。