2021年10月  4.日々の生活を通しての宣教
 10月24日には「世界宣教の日」を迎えます。日本の教会は「私たちが日々の生活を通して、職場や家庭それぞれの場で、キリストの福音を伝えていく者となりますように」と祈ることを奨めていますが、具体的には日々どのようなことを心掛けて生活すればよいのでしょうか。
 第2バチカン公会議、そして第1回福音宣教推進全国会議(NICE1)で検討された事柄の一つに、教会と社会の遊離を克服するために、私たち一人ひとりが信仰と生活を一致させることがありました。まさに「日々の生活を通して・・・福音を伝える」ことが、改めて意識されたといえるでしょう。信仰者としての生活は、キリストに倣って生きることにほかなりません。そして、その生き方を通して、福音が宣べ伝えられると考えられます。
 まずは、分け隔てなく、公平・公正に物事をとらえ、争いごとを避ける姿勢でしょう。言葉として「正義と平和」と用いますが、国際政治や人権闘争での問題ではなく、日々の生活でこの姿勢が貫かれていることが肝要です。
 次に大切なことは、愛の実践です。日々出会う一人ひとりに対して、その人格を受け入れ、その方を大切にしながら関わる姿勢です。互いに愛し合いなさいという教えは、キリスト教の中心です。キリシタンの時代の「どちりなきりしたん・六」には、愛を「ごたいせつ」と表していたことが思い起こされます。
 また、謙遜も忘れてはならない生き方の基本です。「主は・・・思い上がる者を打ち散らし、権力のある者をその座から引き降ろし」(ルカ1・51-52)ます。常に関わる人と同じ高さの目線で関わり、決して支配する力のある立場を行使しないことです。へりくだりの姿勢は、キリスト者としての生き方の一つの柱です。
 そして最後に、常に祈りをささげていることです。神と対話しながら、神の望みを生きることが、キリストの弟子の究極の姿でしょう。
 ミカ書には「主は何をあなたに求めておられるか。それは公正を行い、慈しみを愛し、へりくだって、あなたの神と共に歩むことである」(6・8)と記されています。生き方を通して証しし、福音を宣べ伝えることができるように、キリスト者としての基本姿勢を確認しながら、日々祈りをささげてまいりましょう。