2021年12月  1.アドベント
 教会の暦は、クリスマスを前に、新しい一年に歩みを進めました。12月25日の主イエス・キリストの誕生をお祝いするにあたって、私たちの心を準備するために、その前の4週間を待降節(臨降節)と呼んでいます。教会の聖堂にはアドベント・クランツと呼ばれる4本のろうそくが準備され、日曜日ごとに1つずつ灯す明かりを増やしていきます。
 アドベントは「到来」を意味するラテン語Adventus(アドベントゥス)から来たもので、「キリストの到来」のことです。キリスト教においては、アドベントは約2000年前に人間世界へキリストが生まれ出でられたことばかりでなく、私たちに約束されたキリストの再臨をも表現する語として理解されています。その時がいつ来ても大丈夫なように、日ごろから準備をしておくことが求められるのですが、その意識を新たにするためにもアドベントは大切な期間と言えるでしょう。
 信仰のあるなしにかかわらず、子どもたちにとっても期待に胸を膨らませる時期です。アドベントカレンダーと言って、1から25までの数字が書かれた箱が隠されていて、日を追うごとに一つずつそれを開けると中からキャンディーやチョコレートが飛び出す仕組みのお菓子も、街角にたくさん出回っています。クリスマスのプレゼントにサンタクロースに何をお願いしようかと、せっせと手紙を書いている子どもたちの姿も見かけます。
 日本の教会は意向として「クリスマスの喜びと祝福」をとりあげ、闇に住む人々に、誕生と再臨の二つの意味でのキリストの到来を、子どもたちと同じ純粋な心で待ち望むように招いています。教会の聖堂と同じように、日曜日がめぐってくるたびに心の中にアドベント・クランツのろうそくの光をともしながら、クリスマスを迎えることといたしましょう。