2022年2月  1.シスター
 カトリックの修道女を「シスター」と呼ぶ習慣があります。本来の意味は姉妹ですが、そもそもは同じ修道院で暮らしている同僚の修道女に声をかける際に、霊的な姉妹として「シスター」と親しみを込めて呼びかけたことが始まりでしょう。フランス語圏では「マスール」と呼びかけますが、これも英語の「my sister」にあたる「ma soeur」というフランス語です。2019年の統計では世界中で約63万人のシスターが自分の生活をすべて神にささげて生活しています。
 清貧、貞潔、従順という三つの請願を宣立した修道者のほかにも、結婚生活を営みながら信徒として神への奉仕にあたる信徒使徒職団体の会員や、私的な請願を立てて奉献生活をする人など、カトリック教会には、シスター方のほかにもさまざまな形態の奉献生活があります。
 教皇は、これら奉献生活を送るすべての女性のために、「現代のさまざまな課題について新しい対応を続けることができますように」と祈りをささげることを奨めています。教皇がシスター方に担っていただきたいと願っている「さまざまな課題について新しい対応を続ける」ことは、決して容易なことではありません。日本の社会では、100年以上前にキリスト教が解禁となると、シスター方が孤児や貧しい家庭の子どもたちに教育の機会を与え、以来、主に教育、医療、福祉の領域で人々に尽くしてこられました。しかし、今日の人々の貧しさは、日々刻々と様相を変化させ、制度的な枠組みでは支援が届かないことも頻繁に生じています。この緊急の課題にすぐに対応することが、今日の修道者を含めた奉献生活者に求められていることなのでしょう。
 日本では、約100の女子修道会が、それぞれの会の創立者の精神や会のカリスマにしたがって、固有の使命を担い、教会と社会に奉仕しています。2020年末の統計ではその数は約4500人です。そのお一人お一人が、困難な生活を余儀なくされている人とともに歩み、課題を解決するための新しい対応を見出すことができるようにと、心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。