2022年3月  3.すべての人の命の尊厳
 「祈りと活動をとおして、すべての人の命の尊厳を守り続けることができますように。」これは、今月の教皇のメッセージビデオのしめくくりのことばです。
 今日の科学技術の進歩の中で、生命倫理の新しい課題に取り組む時の基本となる心構えを示しています。私たちは、「すべての人の命の尊厳を守る」ことを究極の目的とするよう、神から招かれているのです。
 しかし今、世界は生命倫理どころではありません。生身(なまみ)の人間が、生身の人間の命を奪っています。戦争の名の下では、殺人が合法化されてしまい、罰を与えられることはありません。戦場で兵士が銃や爆弾で人を狙って打ち、命中すれば、罰どころかそれは賞賛されるのです。命の尊さは黙殺されてしまい、人の命の尊厳は完全に、木端微塵(こっぱみじん)に砕かれてしまいます。
 今、真剣に、人類が命の尊厳を取り戻すために、祈りましょう。人が人を殺めることは決して許されることではありません。たとえ相手が兵士であろうとも、その兵士にも人間としての尊厳があるからです。
 声をあげて、「人を殺さないでください」と叫び、そして祈りましょう。人を殺す能力を持つ武器は、すべて放棄するように叫び、そして祈りましょう。「剣をさやに納めなさい、剣を取る者は皆、剣で滅びる(マタイ26・52)」と叫び、そして祈りましょう。命を守ることができますようにと祈りましょう。
 ロヨラのイグナチオ、フランシスコ・ザビエル、アビラのテレジア、イシドロ農夫、フィリポ・ネリの5人がグレゴリオ15世によって列聖されてからの400周年を祝う3月12日に、この5人の聖人の取り次ぎによって、戦渦が収まり、人の血が流されることがなくなりますようにと、祈りましょう。