2022年4月  1.国境なき医師団
 人の命を奪い合う戦争のさなかで、人の命を救うために自らをささげて活動する人たちがいます。1971年にフランスで設立し、1999年には活動の実績が認められノーベル平和賞を受賞した国境なき医師団(MSF)がそのひとつです。この世界最大の国際的緊急医療団体は、非政府組織(NGO)であり、貧困地域や第三世界、紛争地域を中心に3万8000人以上の海外派遣スタッフ・現地スタッフが活動しています。その活動の原則に、1)第一に医療援助活動、2)証言活動、3)医療倫理の遵守、4)人権の擁護、5)独立性への配慮、6)基本原則:公平性、7)中立性の精神、8)義務と透明性、9)ボランティアからなる組織、10)メンバー一人一人が参加し動かす組織、の10項目を掲げ、憲章(結成趣意書)では「自らの使命にともなう危機や脅威を承知し、医師団が用意することができる以外の、いかなる見返りも求めない。」と詠っています。
 最新の情報では、「ウクライナ国内、主に首都キエフや負傷者が多い東部地域の医療施設に対し、緊急医療物資を提供。キエフの病院では紛争地での活動経験のある外科チームが外傷治療の研修を行った。また、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、モルドバ、ロシア、ベラルーシの近隣諸国でチームを編成。国外に避難した人びとへの物資の配布や、見過ごされがちな弱い立場の人びとの医療ニーズの調査、診療所の設置などを進めている」と報告されています。 AMDA(アムダ)という日本で生まれた国際医療NGOもあります。この団体からは、3月9日、医師、看護師、同行役員の3人が、ウクライナでの戦渦で犠牲となった方々の支援のために、ポーランドに向けて出発しました。
 教皇の今月の意向は、「医療従事者」です。「政府や地方自治体から適切な支援を受けることができますように」と祈ることを奨めています。私たちも心を合わて祈りをささげてまいりましょう。そして、自らを医療活動にささげている方々への感謝の祈りをおささげし、安全と健康が守られますようにと、願い求めてまいりましょう。