2022年5月  4.情報ハンドブックの巻頭特集
 どこの教会でも、カトリック系の施設でも、誰もが便利に使っている小さな冊子「カトリック教会情報ハンドブック」があります。カトリック中央協議会から毎年11月に翌年版が刊行されていて、教会暦と住所録は、情報源として極めて有用です。教会暦には毎日の典礼暦と同時に聖書の朗読箇所が掲載されており、また暦と祈願日の解説もわかりやすく記されています。住所録には日本の16の教区のすべての教会(小教区)と修道院はもとより、カトリック系の諸施設の所在地が掲載されていて、旅行や転居で近くの教会を訪ねる際などに活用されています。B6版のサイズで税抜本体価格が500円と求めやすく、どの家庭にも1冊備えておくと大変有用な情報源となります。
 その情報ハンドブックの巻頭に時宜にかなった特集が毎年掲載されていることは、あまり注目されてこなかったかもしれません。2017年にはユスト高山右近が列福されたことを機にそのゆかりの地を紹介する記事が組まれ、ラウダ―ト・シの公布から5周年の昨年はエコロジーに配慮して設計建築された聖母訪問会の修道院が紹介されました。
 2022年版では、「苦しむ人、悲しみにある人に寄り添う」と題しての巻頭特集が組まれ、日本の教会が今月の意向として取り上げる「困窮者との連帯」に深いかかわりがある4人の実践の体験談が掲載されています。最初は、大阪釜ヶ崎で日雇い労働者のために長く活動をしてきた、フランシスコ会司祭の本田哲郎師が、30年の活動を振り返って「キリストは必ず人の手をとおして働かれる」と力強く語っています。
 2つ目は、援助修道会のシスター林義子さんが、自殺防止のための活動である「いのちの電話」に設立当時からかかわった経験を振り返って語っています。また、3つ目は、同じく援助修道会のシスター野本佳子さんが、様々な家族問題にかかわった中から教会に導かれた1人を紹介して、神の業の働きを紹介しています。そして最後は、東京教区司祭の高木健次師が、カトリック東京国際センターに派遣された体験から、生活が困窮している外国籍の人々とのかかわりを述べています。
 今の日本での困窮者を思い浮かべて祈る時には、いずれの体験談も格好の読み物です。便利に使っているこの情報ハンドブックを、祈りの素材としても有効に活用したいものです。この機会に、巻頭特集にぜひ目を通して、困窮者の心に自分の心を重ねて、その痛み苦しみを共感しながら、祈りをささげてまいりましょう。