2022年6月  4.WWFの取り組み
 日本の教会は、地球環境保護を意向として取り上げ、この目的のための取り組みを推進していくことができるように、ともに祈ることを奨めています。
 ところで、国際空港やターミナル駅などに、ジャイアントパンダをモチーフにした絵に太い文字でWWFと記されたロゴを付けた大きな透明の募金箱を目にしたことがあるでしょうか。このWWFは、世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature)という約100カ国で活動している国際的な環境保護団体です。1961年9月、絶滅のおそれのある野生生物を救うことを目的として、スイスでスタートしました。その後、野生生物が生きる上で必要とする、さまざまな自然環境、森や海、草原、湿地などの、さまざまな生態系の保全に活動の範囲を拡大し、地球環境の保全をめざし、現在は温暖化を含めた多様な環境問題への取り組みを行なっています。これらは、「温暖化防止」、「サステナブル(持続可能)社会の創設」、「野生生物の保護」、「森と海の保護」の4つの柱に整理することができるでしょう。
 日本では、1971年に世界で16番目のWWFとして東京で設立されました。公益財団法人として、個人または法人が会員となって拠出する会費と、寄付金によって活動が賄われています。民間団体(NGO)でありまた非営利団体(NPO)の財団(Fund)であることから、財政的基盤を整えることがこの活動の推進と継続に欠くことができません。ですから「毎月5000円を支援する会員を1年間続けることで、けがをしたトラを野生に復帰させるためのリハビリ活動を6日間支えることができます」と、一般からの支援を求めています。
 昨年の9月に設立50周年を迎えたWWFジャパンは、これからの未来に向け2つの大きな目標を掲げています。まず、2030年までに生物多様性の劣化を回復に向かわせること、つぎに2050年までに世界の二酸化炭素の排出ゼロを実現するために、2030年までに日本の温室効果ガスの排出量を50%削減することです。
 地球環境保護のために一人ひとりが身の回りから生活を改善することはとても大切なことですが、一方で、国や自治体が法令や規則を制定して、環境破壊に向けた活動を規制することも重要です。それに加えて、国や自治体の活動を見守り、一人ひとりの生活改善に役立つ情報を提供し、さらには科学的な調査研究で環境保護の実態を検証するといった活動を担う第三者機関の存在も欠くことができません。
 日本の教会の意向に合わせて祈りをささげながら、WWFについての理解を深め、その活動の支援のためにも思いをいたしてまいりましょう。