2022年7月  3.超高齢社会
 日本は2007年に超高齢社会へ突入しました。65歳以上の人口の全人口に占める割合である高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。1970年代に高齢化社会となり、1994年に高齢社会となった日本の高齢者率は今後も上昇し、2025年に約30%、2060年には約40%に達すると予測されています。この状況は、高齢化率の高い先進諸国の中で、先駆けて最も高齢化が進んでいることを示しています。
 超高齢社会では、重度な要介護状態となった方々が自分らしい暮らしを最後まで続けられるようにするための仕組みづくりが、緊急の課題です。日本の教会の意向に沿って、先週思いめぐらした高齢者の社会的孤立の問題は、いわゆる地域社会が崩壊してしまった今日、新しい取り組みが模索され、中でも団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。これは、高齢者の尊厳の保持と自立生活支援の両輪から成り立っているものです。
 2018年に閣議決定された高齢社会対策大綱では「70歳やそれ以降でも、意欲・能力に応じた力を発揮できる時代が到来」することを前提に、「年齢による画一化を見直し、全ての年代の人々が希望に応じて意欲・能力をいかして活躍できるエイジレス社会を目指す」とし、「地域における生活基盤を整備し、人生のどの段階でも高齢期の暮らしを具体的に描ける地域コミュニティをつくる」ことを基本的な考えに据えています。そして、この地域コミュニティを多世代間の協力拡大の場とすることも、掲げています。
 この考えは、教皇の意向とも重なるものです。教皇は高齢者の知恵と経験を若者に伝え、若者が希望と責任をもって将来を歩むことができるように祈ることへと、私たちを招いています。この教皇の意向を実現するためには、高齢者と若者が触れ合う場の設定を欠くことができません。私たちは生活空間の中に、このような機会を設けることができる仕組みを創設するようにも、求められているのではないでしょうか。
 超高齢化社会にあって、世代を超えた交流がますます盛んになり、高齢者ばかりでなく若者も恩恵を受けることができる「地域包括ケアシステム」が構築されますようにと、祈りをささげてまいりましょう。