2022年7月  4.誰かが関わることで扉が開かれる
 日本では、社会的孤立は深刻な状況であることは、前々回の「日本の社会的孤立」で考察しました。日本の教会は「社会から切り捨てられていく人々に寄り添う」ことが、解決の糸口だとして、心を合わせて祈るように奨めています。 
 日本を「無縁社会」と名付けたNHKは、2018年12月に「孤立大国ニッポン〜私たちは何をすべきか〜」という番組を放映しました。パネリストとして参加した日本社会事業大学学長の神野直彦さんは「新しい社会、つまり人間の絆をつくりあげ、温かい手と手を取り合いながら生きていくことが重要になってきている」と語っています。
 大阪のベッドタウンである豊中市では「見守りローラー作戦」と名付けられたボランティア活動が行われており、小学校区ごとに選ばれた住民ボランティアと民生委員がチームを組み、地域の全世帯を回る活動が行われていることが紹介されていました。声掛けは「お困りごとはございませんか?」「何かあったら連絡ください」です。訪ねて行って会うことができない場合でも、根気よく続けて、何らかの接触の可能性を探り、つながりを持つきっかけを作っています。
 社会との関わりを拒んでいる家のひとつの特徴が「ごみ屋敷」であることも紹介されました。この活動の中で、400件以上のごみの片づけを住民とともに手伝って、地域に助け合う関係を築いたとのことです。
 また、佐賀県の子どもの孤立に取り組んでいるNPOが紹介され、年間に延べ4万件を超える相談に対応している体験を代表の谷口仁史さんが語っています。
 誰かが根気よく、関わりのきっかけを探し続けていくことが、何よりも大切にされるべきことだとの印象を持ちますが、「誰かが」の中に自分を含めているでしょうか。今週は「社会から切り捨てられていく人々に寄り添う」ことができますようにと、心を合わせて祈ってまいりましょう。
 なお、ここで紹介した番組は、インターネットのNHK地域づくりアーカイブスで視聴することができます。
https://www.nhk.or.jp/chiiki/program/181215.html