2022年8月  3.国連での核兵器廃絶決議
 ロシアとウクライナの国際間の紛争が勃発して殺戮が繰り返される中、最も危惧されるシナリオは核兵器の使用です。5月末、駐英ロシア大使はイギリスBBCのインタビューに応えて「ウクライナでは核は使わない」と明言しました。また、駐日ロシア大使のガルージン氏は、8月4日に広島市で原爆慰霊碑に献花し、JNNのインタビューに応じて、日本語で明確に「ウクライナで核は使わない」と語りました。「核兵器は戦争の抑止力となっている」と主張する核保有国が、「核は使わない」と国際社会で公言しながら、武力による現状変更のための侵略を行ってよいわけはありませんが、支配地域を拡大しようとする戦闘が続いていても、最悪のシナリオは回避されるでしょう。核兵器の破壊力はそれほどに絶大なのです。
 昨年12月に、ニューヨークで行われた国連総会本会議において、長年日本が提出し続けてきた核兵器廃絶に向けた決議案(「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」)が、158カ国の支持を得て採択されました。核兵器のない世界の実現が国際社会の共通目標であることを再確認するとともに、核兵器不拡散条約(NPT)体制の維持・強化に向け、国際社会が一致して直ちに取り組むべき行動の指針と未来志向の対話の重要性を強調するものです。核兵器国である米国、英国及びフランス、並びに多くの非核兵器国を含む様々な立場の国々の支持を得て採択されましたが、棄権した国が27カ国、そして反対は中国、北朝鮮、ロシア、シリアの4カ国でした。この結果が示すように、今日の世界情勢の中でこれら4カ国が遊離していて、緊張をもたらしていることが理解されます。
 「核は使わない」と言いながら核を保有し、核兵器廃絶決議に反対を表明したロシアと、台湾を取り囲んで核搭載可能なミサイル発射を含んだ大規模な軍事演習を実施した中国が、どのようにして平和を築き上げようとしているのかを見極め、唯一の被爆国である日本が「核兵器のない世界」の実現に向けて着実に前進すべく、粘り強く、各国間の橋渡しのための努力を重ねていくことを切に望みます。
 日本の教会の意向は「世界の平和」です。心を合わて、189カ国すべてが核兵器廃絶決議に賛成を投じる日が、一日も早く到来するようにと、心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。