2022年9月  4.高齢者雇用
 日本では、高齢者の就業機会を確保できるようにと、様々な施策がなされています。その根幹となるのは、2021年4月の高齢者雇用安定法の改正で、努力義務として70歳までの就業機会確保措置が織り込まれました。
 改正前の安定法では、定年年齢を定める場合には60歳以上とすることとなっていましたが、65歳まで就労機会を延ばすように変わりました。そして、定年年齢を65歳とするか、再雇用制度・勤務延長制度などの継続雇用制度を制定して65歳まで就労できるようにするか、あるいは定年制を廃止するかで、雇用主は被雇用者が仕事を続けることができるようにすることが義務付けられました。
 さらに、この65歳の年齢表記を70歳に置き換えたものを、努力義務として提示し、加えて、雇用の形態をとらなくても就労できるようにと、業務委託契約を締結する制度や、社会貢献事業への参画して仕事に従事することができる制度も導入されました。
 もちろん、この法律の改正にあたっては、若い時と同じように働くことが難しくなっていること、また、個々に経済状況や健康状況、また家族や地域などの社会状況が異なっていることが配慮されましたので、雇用の形態や事業の展開も多様性を念頭に置いたものとなりました。
 日本の教会の意向は「高齢者」で、「社会でも教会でも、それぞれの役割を通して、生き生きと生活できますように」と、ともに祈ることを薦めています。高齢化に伴う衰えの一つに、情報収集能力が挙げられています。社会が新しい制度を作り出し、高齢者にも様々な就業機会を提供しようとしていても、その情報が当事者に届いていないことも、多々見受けられます。私たち一人ひとりが、高齢になった方々にまずは関心を示し、役割を見つけて充実した生活につなげているかどうかを、一緒になって考えてみることも大切です。
 日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳です(2020年の数値)。生き生きとした高齢者が生涯現役でいられますようにと、祈ってまいりましょう。