2022年10月  1.開かれた教会
 今月の教皇の意向「すべての人に開かれた教会」で思い起こすのは、1987年11月に行われた第1回福音宣教推進全国会議(NICE1)の公式記録集『開かれた教会をめざして』(カトリック中央協議会刊)です。今から35年前に、日本の教会はこの課題に取り組むことを確認したのでした。
 正義と平和を推進し、愛に満ち溢れた平和な世界を築くことが、神の望みであり、また人類共通の願いであることを確認し、この良き知らせである「福音」を世界の隅々にまで告げ知らせていくことを教会として推し進めていくために、この会議は開催されました。司教団は会議の課題発表に際して前年12月に次のようにメッセージを発表しました。 
 「私たちは、これらの根底にある共通の問題を確認いたしました。それは、福音宣教の実践に際して、カトリック信者としての私たち自身の生活と信仰の遊離、そして教会の日本社会からの遊離でした。(中略)こうして、私たちは、第1回全国会議の課題を『開かれた教会づくり』としました。」
 この会議を経て、司教団は「ともに喜びをもって生きよう」の文書を発表しました。「ともに」には、「教会が、社会とともに歩み、人々と苦しみを分かち合っていく共同体となる」決意を込め、「喜び」には、「掟や教義を中心としたとらえ方から『生きること・・』を中心としたとらえ方に転換したいと思います」との思いを込めたメッセージでした。「教会が、連帯、友愛、歓待の共同体」となることを願う教皇の意向は、NICE1以来日本の教会が推し進めてきたことにほかなりません。
 もう一つ意識して受け止めたいのは、「シノドスの雰囲気のうちに生きる」という教皇の願いです。来年のシノドス第16回通常総会に向けて、世界の教会が今歩んでいる準備の過程は、シノドス的という意味の「シノダリティ」という言葉に象徴され、「教会のメンバーが皆ともに旅をし、集いに集まり、教会の福音化の使命に能動的に参加する」ことを指示しています。この歩みに沿って、日本の教会はその回答書をまとめ、8月15日に発表しました。
 この一週間を、開かれた教会となるようにとの祈りのうちに過ごし、一人ひとりがその歩みをともにすることができるように心がけて過ごしてまいりましょう。