2022年12月  1.非営利とボランティア
 教皇の意向のキーワードは「非営利」と「ボランティア」です。この2つの言葉は、資本主義経済の常識から大きく外れる、あるいは、全く反対の原理から生まれる営みです。なぜなら、私たちが暮らす現代社会は、組織による営利の追求と、個人による労働の対価としての報酬を原則としているからです。純粋な愛、アガペの原理による営みは、いつも後回しにされています。
 利益追求と賃金報酬を極大化する資本主義には、さまざまな矛盾があります。その影響は、高齢者や病者、子ども、難民、避難民などの、小さくされた人たちにすぐに及びます。というのは、公的な、そして制度的な救済活動がなされる間で一定の期間を擁したり、援助の対象から外されたりすることなどが、往々にして起きるからです。したがって、小さくされた人々の人権が、時には生命までもが脅かされてしまっています。
 このような一般社会の行動原理に基づいた公的な枠組みによる救済をなしえない状況では、2つのキーワードは光を放ちます。団体として営利を放棄し、個人としても報酬を放棄する営みこそが、弱い立場におかれた人たちの人権、そして生命を救う手立てになるのでしょう。
 このような人類愛に満ちた営みは、小さな活動から始まることが一般的です。一つの例ですが、「特定非営利活動法人mia forza」 は宮城県仙台市で女性や子どもを応援し、「ひとり親世帯に向け食料品や日用品の提供(ふーどぱんとりー)」などを営んでいます。地道に活動の輪を広げ、資金集めやボランティア募集などを積極的に行っていますが、一般にはあまり認知されていません。
 身近にどのような非営利団体やボランティア活動が営まれているのかを、気をつけながら日々生活してまいりましょう。きっとすぐ近くにも、きらきらと輝く活動を見出すことができるでしょう。
 このように、人類にとっての共通善は、宗教の枠を超えて広がっています。教皇の意向である「非営利団体のボランティア」を心に留めて祈り、この1週間を神と出会う一人ひとりのためにおささげいたしましょう。