2022年12月 5.ボランティア元年 |
「ボランティア元年」ということばを覚えているでしょうか。 来年の1月17日で、阪神淡路大震災から27年を迎えることになります。災害の直後から、たくさんのボランティアが救援や復興のために被災地を訪れて活動を開始し、その期間も長期にわたりました。この時期を境に、ボランティアのとらえ方が大きく変わりました。生活にゆとりがあり、奉仕の志を持った特定の人が無償で働くといった意味合いでしたが、日常生活からボランティア活動のための時間をあえて割いて、時には休暇をとって仕事を休んででも、救援や復興のために奉仕する人々が、絶え間なく被災地を訪れたのです。 このような人々の助けがなければ、救援も復興も、また仮設住宅での暮らしも思うようには進まなかったでしょう。その年1995年12月の閣議で1月17日を「防災とボランティアの日」とすることが決まり、また、1月15日から21日が「防災とボランティアの週間」と定められました。そして、1995年が「ボランティア元年」と呼ばれるようになったのでした。 ボランティアの意味合いが変化したばかりでなく、ボランティア団体にとってもこのころから新しい動きが始まりました。ボランティア活動のためには、それなりの資金を調達しなければなりません。例えば、学生を現地に派遣するグループができたとして、募金活動などの活動も進めることになるのですが、法人格を持たない任意団体の場合、税法上はその寄付金が代表者個人の所得となってしまいます。そこで、財団法人や社団法人といった大掛かりな法人組織ではなく、非営利のつまり、ノンプロフィットの小さな団体も法人格を持てるようにすべきだという認識がなされ、1998年には、いわゆるNPO法(特定非営利活動促進法)が成立することになります。その結果、ボランティア団体の資金の動きが透明になり、自動車の所有や、不動産の賃貸契約なども団体として行えるようになったのです。 このような歴史的背景の中で、ボランティア活動が活発になり、企業によってはボランティア休暇を設けるところも現れるようになりました。今や大規模な災害が発生すると、すぐに当地の行政は、ボランティア受け入れの窓口を設けるほどです。 教皇の意向は、「非営利団体のボランティア」です。今日もどこかで、自分をささげてボランティア活動に励むすべての人が、健康で充実した日々を過ごすことができるようにと、心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。 |