2023年2月  3.希望の光が見えない
 日本の出入国管理及び難民認定法(入管法)について多くの疑問が投げかけられ、母国から命がけで逃げて来た人々を難民として認定しやすくなるようにと法改正が働きかけられている最中、政府はさらに厳しい基準を設けようとしています。
 「国際法違反として国内外の批判を浴びている『入管法改正案』(『新政府案』)が、今年3月上旬に国会に提出される動きが濃厚だという。『新政府案』には難民認定申請を3回以上した者については、申請中であっても母国に強制送還できるようにする法案等も含まれている。」
 カトリック新聞2月12日号には上記の文章に続いて、特に生活困窮に陥ってしまった人々への支援が緊急の課題であることも記されています。
 政府は、難民として認定することを避けるために、避難民という用語を用いて、ロシアのウクライナ侵攻によって国外に逃れた人々をおよそ1000人受け入れています。難民とは1951年の難民条約などによって定義されていて、「人種、宗教、国籍、政治的意見、または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れ、国際的保護を必要とする人々」を指します。一方、避難民については明確な定義はなく、漠然と天災や戦災などから避難した人々を指していて、これまでは国境を越えて移動する人々にはあてはめてきませんでした。日本政府の基本的な方針は、移民は受け入れないというもので、できる限り定住権を与えない方針を貫いていますので、ウクライナから戦火を逃れて日本で生活している方々を避難民と呼んでいて、在留の特別許可を与えているのです。
 日本の教会の意向は「難民」です。「困難の中にも将来に対する希望を持ち続けられますように」と祈るように奨めています。しかし日本の現実は、希望の光が見えない状況です。希望を抱くことができる環境を整えるためにも祈りを捧げ、力を尽くしてまいりましょう。