2023年3月  3.いのちを守るガイドライン
 日本の司教協議会は、2021年2月17日の総会において、すべてのいのちを守るための教会と社会づくりに寄与する指針として、「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」を承認し、発表しました。
https://www.cbcj.catholic.jp/2021/12/17/23747/
 このガイドラインの内容は、教会における性虐待、性暴力を根絶するという決意のもとに、具体的にどのような営みがこれにあたるかを子々細々にわたって記載し、注意を喚起しているものです。
 この背景には、ここ数年、次々と明るみに出されたカトリックの司祭による性虐待と、それを隠ぺいする教会の体質に対する社会からの痛烈な批判がありました。日本でも仙台教区、長崎教区で聖職者の女性信徒に対する性虐待に絡んだ裁判が行われ、裁判所が賠償命令を出したり、損害賠償の民事訴訟に対しての和解勧告が出されたりしています。
 ガイドラインの冒頭には、教皇聖ヨハネ・パウロ二世が2002年4月23日にアメリカの枢機卿と司教協議会代表に宛てた声明の中にある「性虐待はいかなる基準によっても悪であり、社会から正当に罪悪と見なされるものであって、神の目には忌まわしい罪である」という文を引用して、このような被害から守ることは「教会の使命の不可欠な事柄です」と述べています。
 性虐待は、当然のことながら、教会だけの問題ではありません。今日の社会では世俗化の進行と性モラルの低下によって、欲望のおもむくままに行動する傾向が助長されています。被害者の救済はもちろんのことですが、社会から性虐待をなくすことにも、教会は力を注がなければならないでしょう。日々出会う人に対してはいつくしみの心をもって接し、その人の命を大切にすることが、切に求められているのでしょう。
 ガイドラインをしっかりと受け止めましょう。そして今月の意向にあるように、犠牲となったすべての人に、神が愛をもって癒しのわざを注いでくださるようにと、祈りをささげてまいりましょう。